売上の76%が1社依存——広告制作会社の「強み」が新事業の扉を開いた
2025-03-31
企業概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業種 | 広告制作(通販カタログ・コンテンツ制作) |
| 所在地 | 東京都内 |
| 従業員数 | 約36名 |
| 売上高(支援開始時) | 約4.8億円 |
| 支援期間 | 全5回 |
支援前の状況
創業40年以上の老舗広告制作会社。通販カタログの制作を主力事業とし、長年にわたって大手EC企業との取引を深めてきた。売上は約4.8億円で横ばいが続いているが、財務は安定しており大きな赤字もない。「困っているわけではないが、このままでいいのか」という感覚を経営者が持ち始めたタイミングでの支援依頼だった。
見えてきた本質的な課題
最初のヒアリングで、売上の内訳を客先別に分解してもらった。数字が出た瞬間、問題の輪郭がはっきりした。売上の76%が1社からの受注だった。
長年の主要クライアントで関係は良好だが、その1社に何かあれば会社の存続が揺らぐ構造だ。一方、顧客別に粗利率を計算すると衝撃的な差が出た。主要EC企業との取引は粗利率約78%。一方、大手印刷会社経由の仕事は約14%だった。
主要取引先の粗利率が圧倒的に高いのは、「値段で取っている仕事」ではなく「価値で取っている仕事」だからだ。クライアントの商品を深く理解し、売れる表現を一緒に作り込む力——これが主要取引先との深い関係を生んでいた。この強みが言語化されておらず、担当者個人のノウハウとして留まっていた。
支援内容
顧客別採算性分析と優先順位の整理——売上高だけでなく粗利率・粗利額で顧客を分類。「売上は大きいが利益が薄い仕事」と「深耕できる高収益の仕事」を明確に分け、リソース配分の方針を整理した。
スキルアンケートによる強みの棚卸し——全スタッフを対象にスキルアンケートを実施。デジタルコンテンツ制作(動画・Web・SNS)や専門分野の知識(医療・教育・エンタメ)など、表に出ていなかった多様なスキルを組織全体のスキルマップとして可視化した。
クロスSWOT分析による新規事業の導出——「商品・サービスを深く理解して伝わる表現を作る力」という強みと、中小企業の社内広報・採用強化ニーズを掛け算し、企業向け社内報制作サービスという新規事業を導出した。
サービスの具体化とアクションプラン——8ページ60万円・16ページ120万円という価格設定と、ターゲット企業の営業リスト100件を作成し、営業活動を開始した。
成果
社内報制作サービスが具体的な商品として形になり、テストマーケティングによる営業活動がスタートした。スキルアンケートを通じてスタッフが「自分の強みは何か」を改めて考える機会を持ち、組織全体に前向きな変化が生まれた。「売上が大きい取引先がいい取引先」という認識から、「粗利率と粗利額で判断する」という視点に経営者の認識が変わった。
支援を振り返って
この案件で面白かったのは、「強みはすでに証明済みだった」という点です。
主要取引先との粗利率78%という数字は、その会社との関係が単なる「価格競争の外」にあることを示しています。長年の実績の中で育まれ、すでに高い対価として認められていた。ただ、それが社内で言語化されていなかった。
クロスSWOT分析では「S×O」の組み合わせに集中しました。「商品理解力と提案力」という強みは、通販カタログという枠を超えて、企業の社内広報という市場にそのまま持ち込める。その確信が持てたとき、新規事業の方向性が決まりました。
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