Redesign
デザイン業経営改善固定費削減新規事業

固定費が会社を食っていた——デザイン会社の構造転換

2025-07-10

企業概要

項目 内容
業種 グラフィックデザイン(ロゴ・印刷・WEBデザイン・ブランディング)
所在地 東京都内
売上高(支援開始時) 約2,700万円(3期連続営業赤字)
支援期間 全5回

支援前の状況

ロゴ・印刷・WEBデザインを提供するグラフィックデザイン会社。個人事業主として開業後に法人化し、2023年からブランディング事業を展開。顧客は紹介による中小企業が中心で、売上ピーク時は展示会関連の一括受注により3,600万円を記録した。しかしコロナ禍で展示会需要が消失し、売上は一時1,500万円まで落ち込んだ。その後2,000〜3,000万円台に回復したものの、3期連続で営業赤字が続き、金融機関のリスケ状態に入っていた。

見えてきた本質的な課題

「まずは足元を固めるところから始めたい。精神的な安定を得た上で、新しいことに力を入れていきたい。」——財務数字を丁寧に確認すると、問題の構造が見えてきた。

売上が回復しているにもかかわらず赤字が続いている理由は固定費にあった。 事務所の賃料と正社員2名の人件費が重く、それを稼げる売上規模になっていない。さらに受注の多くが「人的なつながり」に依存しており、組織的な営業体制が整っていないため、売上が安定しない構造になっていた。

「仕事は来る。でも、毎月の固定費を払うと手元に何も残らない。」——問題は売上の絶対額ではなく、コスト構造だった。

支援内容

固定費の構造的な削減——事務所をコワーキングスペースに移転し、賃料を月3万円以下に削減(年間約108万円の改善)。正社員2名については退職後に業務委託契約に切り替え、年間約900万円の固定人件費を変動費に転換した。役員報酬の見直しによる社会保険料の圧縮も合わせて実施した。

デザインスクール事業の立ち上げ——ターゲットは企業の広報担当者やフリーランスのデザイナー。支援開始時点で既に受講者8名・単価10〜15万円の実績があり、事業としての手応えは確認されていた。ロゴ作成のノウハウや独自のプロセス、業界内ネットワークという代表者の強みが、そのままスクールの競争優位になる設計とした。

月額顧問契約事業の拡大——デザイン支援を単発で提供するのではなく、月額で継続的にブランディングを伴走する「顧問型サービス」として再設計し、安定したキャッシュフローの確保を目指した。

経営改善計画書の策定——収益の安定化・収益性の高い商品開発・現金獲得力の強化の3軸で数値目標を設定。月次の資金繰り表も整備した。

成果

人件費削減・家賃削減・役員報酬見直しという三つのコスト圧縮施策が実施され、損益分岐点が大きく下がった。デザインスクールのターゲット設定・カリキュラム方針・価格帯が整理され、漠然としたアイデアから展開可能な商品へと変わった。「これまでは税理士に丸投げで、決算書の数字が何を意味するか分からなかった。資金繰り表を自分で作れるようになって、毎月の状況が具体的に見えるようになった。」

支援を振り返って

この案件で最初に感じたのは、「仕事はあるのにお金が残らない」という構造の典型だということです。

売上が2,700万円あるのに赤字が続く。固定費の構造が売上規模と合っていないことが一目瞭然でした。「もっと仕事を取ろう」と頑張っても、その前に固定費の問題を解決しなければ、働けば働くほど消耗するだけです。

固定費削減は「削れるものを削る」という消極的な話ではなく、「身の丈に合ったコスト構造に設計し直す」という積極的な経営判断です。その上で新しい事業の柱を育てていく——この順序が重要でした。代表者の強みであるロゴ作成の独自プロセスと業界ネットワークは「スクールで教えられる技術」として十分に価値がある。その強みが事業化できていなかったのは、日々の仕事に追われて設計する時間がなかったからです。

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