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飲食業経営改善客単価価格戦略

金曜の満席が、機会損失だった——イタリアンが「高単価の夜」を設計した

2026-04-30

企業概要

項目 内容
業種 飲食業(イタリアンレストラン)
所在地 東京都内
支援期間 進行中

支援前の状況

酒販店を営んでいた代表者が、その経験と仕入れルートを活かして転業したイタリアンレストラン。酒販免許を保持したまま飲食業を展開するという珍しい経緯を持つ。希少食材の独自仕入れルートや、ワインを市場価格を大幅に下回るコストで仕入れられるという強みを持ちながら、収益が改善しない状況が続いていた。

見えてきた本質的な課題

収益が出ない原因を掘り下げると、金曜日の夜に問題の核心があることが見えてきた。「金曜日は満席になります。でも、客単価が低い。お酒もあまり頼まない。」

金曜日に来るのは「近くで軽く飲みたい」層だった。席が埋まってしまうため、本来来てほしい高単価帯の顧客——記念日やビジネス接待、良いワインを楽しみたいお客——が来店できない。 「客数が多い」という状態が、実は機会損失を生んでいるという構造の問題だった。

一方で数字の中には明確な強みも見えた。コース料理の原価率が26%という水準は飲食業として非常に優れている。酒販免許という他店にない強みがワインの仕入れコストを大幅に抑えている。単価さえ上げられれば、利益が出る体質はすでに整っていた。

支援内容

金曜夜のコース予約制への移行——「金曜日の夜の予約を、設定した価格帯のコース料理のみに限定する」という方針を提案。低単価のドロップイン客が入れなくなる代わり、コース料理を目的とした顧客だけが来店する構造に切り替わる。試算の結果、この変更だけで年間数百万円規模の増収(粗利ベースでも相応の改善)という数字が見えた。

高価格帯ヴィンテージワインによる顧客誘引——酒販免許による仕入れ力を活かし、高単価帯のヴィンテージワインを「フック商品」として設計。「良いワインを飲みたい」顧客層にとっての来店動機とした。

希少ブランド牛の追加オプション設計——希少ブランド牛をコースのオプションとして設計し、さらに高い客単価帯へ引き上げるシナリオを検討した。

SNS広告によるターゲット集客——「コースの夜」という新しい価値提案を、近隣の「記念日や特別な夜を過ごしたい層」に絞ってリーチする広告設計を行った。

成果

コース予約制への移行により、金曜日の客層が明確に変化し始めた。席数は変わらないが、一晩の売上の質が大きく変わった。酒販免許・独自の希少食材・厳選ブランド牛という個別の強みが、コースという「商品」の中に組み込まれ、「どの強みを何に使うか」の設計が明確になった。「金曜日の問題は分かっていたけれど、どうすればいいか整理できていなかった。数字で年間の増収試算が出たとき、やるべきことが一気に明確になりました。」

支援を振り返って

この案件で最も面白かったのは、「満席なのに儲からない」という逆説の解き方でした。

飲食業で「金曜日に満席」と聞けば、普通は良い状態だと思います。でも客単価の内訳を見ると、その満席が機会損失を生み出していた。良い顧客を受け入れられる席がない状態を「繁盛」と呼ぶのは、正しくない。

この店には本物の強みがあります。酒販免許という業界内でも珍しい強みがワイン仕入れコストに直接効いている。原価率26%は、価格を上げながら利益を出す体力がある証拠です。問題は、その強みを活かせる客層を「意図的に選ぶ」という発想がなかったことでした。来てほしい客に来てもらうための設計が、利益を出す飲食業には必要です。

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