乗務員の平均年齢70歳超、稼働率60%——タクシー会社の採用改革
2025-10-10
企業概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業種 | タクシー事業 |
| 所在地 | 東京都内 |
| 支援期間 | 全15回 |
支援前の状況
長年にわたり地域の交通インフラを担ってきたタクシー会社。しかし乗務員の平均年齢は70歳を超え、高齢による自然退職と採用の停滞が重なり、車両の稼働率は60%程度に落ち込んでいた。ハローワーク、新聞広告、インターネット求人など複数の媒体に掲載しているものの、応募はほとんどない状況が続いていた。
見えてきた本質的な課題
「とにかく人が欲しい。稼働率75%を目指したいが、そのためにはあと40人の採用が必要です。」——採用できていないのは「人材が少ないから」ではなく「求職者の認知獲得ができていないから」という仮説を立て、確認した。
現状の採用手法を整理すると、ターゲット設定が曖昧で求人メッセージが特定の層に刺さっていないこと、採用ページを見ている人数すら把握できておらずPDCAが回っていないことが明らかになった。求職者がどこにいるのかを把握せず、どのくらい見られているかも分からないまま広告を出し続けていた。課題は媒体の数ではなく、「誰に・何を・どう届けるか」の設計にあった。
支援内容
ターゲットの明確化:氷河期世代へのフォーカス——採用ターゲットを「35〜55歳の氷河期世代」に絞り込んだ。この層は就職難の時代に正規雇用に就けなかった背景を持ち、安定した雇用や収入を強く求めている。タクシー業界が提供できる「普通二種免許取得支援・安定した月収・シフト柔軟性」は、この層の課題解決と合致する。
SNS広告の設計と運用——LINE広告を活用し、月額約5万円の予算で採用広告を開始。最初の2週間で1,900クリック、クリック単価32円という結果が出た。数字で結果を確認しながら運用を続けることで、社内の信頼感が生まれた。
採用特設ページの整備——採用に特化したランディングページを作成。会社の理念・独自の特徴・先輩社員の体験談・福利厚生の詳細を掲載し、広告からの流入をコンバージョンにつなげる導線を整えた。先輩社員の声を掲載した後、「応募してくる人が、うちのことをすでに知っている感じがするようになった」という変化が生まれた。
ハローワーク活用の深掘り——ハローワークのリクエスト機能(1求人につき10件のスカウトが可能)の活用を提案。日勤専門の求人区分を新設し、副業希望者や短時間勤務希望者など多様なニーズに対応する選択肢を増やした。
SEOによる長期的な採用基盤の構築——「タクシー転職」というキーワードは全国で月間約2,400人が検索している。短期的な広告とは別に、長期的な採用インフラとして育てる方針を立てた。
成果
支援を通じて獲得した稼働中の人材は12名に上った。年間広告費240万円に対し、12名が戦力化すれば年内にはキャッシュフロー的に採算が取れる見通しが立った。施策が軌道に乗った時期には、2ヶ月間で40件以上の応募があった。「これまでは『待っていれば誰かが来る』という感じだった。今は自分たちからアプローチに行くという意識に変わった。」
支援を振り返って
この案件の核心は「求人媒体を増やすことではなく、届け方を変えること」でした。
応募が来ない理由を「市場に人がいない」と考えると打ち手がなくなります。でも「自社の存在が知られていない」と定義すると、取り組めることが大幅に増える。最初のヒアリングで、採用ページへのアクセス数も問い合わせ数も把握していないことが分かった時点で、「認知獲得」こそが課題だと確信しました。
氷河期世代をターゲットにしたことも重要でした。この世代は転職市場で軽視されがちですが、雇用の安定に対する強いニーズを持ち、免許取得支援などのサポートに真剣に向き合う層です。「うちには来ないだろう」という思い込みを数字で崩していくことが、この支援の面白さでした。
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